発酵と熟成の違い

ワインやウイスキー、チーズや味噌などの発酵食品から、最近ではお肉や魚など発酵していない食品まで、さまざまな商品に「熟成」という言葉がついています。確かに「熟成」と書いてあると普通より美味しそうに感じることはありませんか? 

ところで、ワインやチーズなどのようにすでに発酵させている食品を熟成させるって、どのような意味があるのでしょうか? 

また発酵していない肉や魚を熟成させるのとはどのような違いがあるのでしょうか? 今回は、そんな発酵と熟成の違いを調べました。


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熟成って何?

熟成と発酵の違い

「熟成」というのは、ある物質を丁度よい温度や湿度で、さらに一定の期間寝かすことで、その内部でゆっくりと化学変化を起こさせ、いっそう旨味や風味を増し加えることです。それは「エイジング」と呼ばれることもあります。

例えば、発酵食品に含まれるタンパク質が発酵菌や酵素によってゆっくり分解され、アミノ酸が作り出されることでいっそう美味しくなるのも「熟成」です。

ただ、熟成には発酵食品に含まれるような“微生物”が必ず必要というわけではなく、食品そのものが元々持っている“酵素”によって分解される場合や、ただ単に時間をかける寝かせることで旨味が増すこともあります。

発酵と熟成の違い

発酵とは?

熟成と発酵、チーズ

「発酵」とは、菌やカビ、酵母といった“微生物”のはたらきによって、ある物質が分解されたり変化したりして私たちのカラダにいいものや有益なものに変わることです。

例えば、牛乳が乳酸菌や“レンネット”と呼ばれる酵素などの微生物によって、牛乳の中に含まれるタンパク質や脂肪などがアミノ酸や脂肪酸に分解されたり合成されたりすることによって、元々の牛乳とは全く異なる見た目や味、栄養価のある別の食品へと生まれ変わったものが「チーズ」です。

また、同じ牛乳でも、牛乳に「乳酸菌」を加えて発酵させると、牛乳に含まれるタンパク質や乳糖が分解されて「乳酸」というものが作り出され、酸味のある美味しい「ヨーグルト」へと生まれ変わります。

元は同じ牛乳でも、発酵の仕方によって味も香りも形状も全く異なる食品に変化するなんて面白いですね。

このように、元々の食材が“微生物”のはたらきで変化し、独特の香りや旨味、栄養価が作り出されて保存性が高まり、いっそう人間にとって有益な食品に変化したもの「発酵」なのです。


発酵と熟成の関係

ワイン,作り方,発酵,赤,白,ロゼ

発酵食品のなかで「チーズ」や「ワイン」「味噌」など、“発酵”という過程が終わった後、すぐに食べるよりも一定期間寝かせることによってコクや旨味・風味が増していきます。

また、味噌や醤油の場合、原料の大豆や米などから生み出されたアミノ酸と糖が反応して、熟成させるほどに濃い褐色へと変化していきます。この過程で香ばしい香りが増していくのです。

例えば高級ワイン(テーブルワインではない)の場合、搾り出したブドウ果汁に酵母を加えると発酵してアルコールが生じ、一定期間でワインが完成します。もちろんこの時点で、ワインとしては完成しているのですが、酸味や甘味、渋みのバランスがあまり良くないために酸味や渋みが強く、ツンとした口当たりがあります。

ところが、このワインを“熟成”させることでゆっくりと変化が生じ、酸味や渋みの角が取れてまろやかになり、複雑な香りが加わったり、ワインの色も変化したりして全体的に落ち着いてきます。こうして熟成されたワインは一般的に「ヴィンテージワイン」として価値が高くなります。

「このワインは年代もので」なんて台詞を聞いたり、リカーショップで10年、20年もののワインの値段が一桁違うのを…


発酵していないものを熟成させる?

発酵していないものの熟成、ハム

「熟成」は、必ずしも発酵食品のように微生物が関係しているわけではなく、その食品が持っている“酵素のチカラ”によって分解されたり、時間をかけたりすることで旨味や風味が増すこともあります。

例えば、イタリアのパルマ産の生ハム「プロシュット」は、塩漬けした豚肉を燻製せずに1年~2年間もの長い間じっくりと“乾燥熟成”させることによって独特の風味があるおいしい生ハムになります。この熟成させる過程で豚肉が持つ旨味成分アミノ酸が増え、さらに乾燥させることで水分が減り美味しさが濃縮されます。

期間はもっと短くなりますが、熟成=寝かせる ということでいうなら、作り立てのカレーよりも一晩寝かせた翌日のほうが美味しいとか、釣れたての魚よりも2、3日後のほうが美味しくなる、というのも熟成の一種かもしれませんね。

ただし、「熟成」の難しいところは失敗すると「腐敗する」というところです。上手に熟成させるためには温度や湿度、適度な時間などの環境を整えることが絶対に必要です。

近年流行りの「熟成肉」「熟成魚」などはプロの技術が必要です。流行っているからといって自宅でも簡単にマネしてみよう・・・というのはとても危険です。

熟成はしっかりとした管理の賜物

熟成は管理のたまもの

商品ラベルの売り文句のように書かれる「熟成」。この文字があるだけで同じような商品の中でも一番美味しそうに見える言葉ですね。私たちは経験上熟成されたものの美味しさを知っているのですね。

ただ、本当に美味しくするための熟成は、ただ時間が経つのを放置しておくわけではなく、それぞれの食材にふさわしい温度や湿度、保管する空間や適度な期間などの環境をしっかりと管理して初めて「熟成された商品」ということができます。

このような条件が整うことで、食品に含まれるタンパク質や脂質、糖質などがゆっくりと変化して、旨味やコク、香りやまろやかさを生み出してくれます。次に熟成商品を購入する時には、その点を考えながら味わってみるのはいかがですか?

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