藍染も発酵って知ってた?人類最古の植物染料、藍染ができる過程

「青は藍より出でて藍より青し」ということわざをご存知ですか? 

藍草で染めた布は藍草よりもいっそう鮮やかな青色になることから、弟子と師の関係にあてはめて弟子が師の学識や技術を越えるという意味の故事です。

「藍染」といえば着物や浴衣など和服のイメージですが、近年では「JAPAN BLUE」として再注目を浴び、和風モダンな小物やグッズ、洋服などに取り入れられて海外でも人気が高まっているようです。

ところで、そんな藍染めは発酵させて作り出された色なんです。今回は、その過程をご紹介しましょう。


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藍染の歴史

藍染の歴史

藍染は“人類最古の植物染料”といわれていて、6000年以上もの歴史があるとされています。藍染めというのは「藍」という名前の植物があるのではなく「インディゴ(インジカン)」という色素を含んでいるさまざまな植物から採られます。ですから世界中に「インディゴ」の色素を持っている植物があり、世界各地でさまざまな藍染が広がりました。

エジプトでは紀元前2000年頃のミイラに藍で染めた麻布が巻かれているのが発見されています。その後、シルクロードを通して文明が広がると共にインドや中国へと伝わっていきました。日本には奈良時代の頃にシルクロード経由で伝わってきたようです。

鎌倉時代には、すでに藍の栽培と染色の記録が残っています。この時代には武士たちが、鎧の下に濃い藍染を身に着け「かちいろ(勝色)」と呼んで縁起を担ぎました。
藍染には消炎作用や解毒作用、止血効果があることを知っていたのですね。

藍染が庶民の人たちに広まったのは江戸時代で着物や作業着、暖簾(のれん)や寝具など、ありとあらゆるものが藍色に染められ、藍染めを商う「紺屋」が数多く存在しました。


藍染と発酵の関係

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藍染に使用される植物はさまざまで、「藍蓼(アイタデ)」「インド藍」「琉球藍」「ウォード」など地域によって異なります。これらの植物には「インディゴ(インジカン)」という色素を含んでいます。

ただ、他の草木染めの多くは、植物の葉や樹皮、根などを煮出して染め、色を定着するために媒染剤を使うことで染色できるのですが、「インディゴ(インジカン)」は草木染めの色素のように水には溶けず、そのままでは染料にならないのです。

この青色成分は、発酵することによって初めて水に溶けて染色できるようになります。そこで、藍染には発酵が欠かせないというわけです。


藍染が作られる過程と発酵

藍染と発酵の過程

なかでも江戸時代から続く日本の伝統的な「灰汁発酵建て(あくはっこうだて)」という技法をご紹介します。

すくも作り

夏に刈り取った「藍蓼(アイタデ)」の葉を1,2cmほどに刻み、葉とクキの部分を分けます。

ほうきなどで何度も裏返しながら天日干しで乾燥。大きなむしろや俵に詰めて土間に積み上げます。(寝かし込み) 

その後、積み上げたむしろなどに水を打ち混ぜます。(切り返し) 

この作業を何度も繰り返すうちに微生物が自然に発酵を始め70℃ほどに温度が上がります。このような作業を100日ほどかけて発酵させると「すくも(蒅)」が完成します。できあがった「すくも」を丸く固めたものを「藍玉」といいます。

藍建て

藍建てというのは「藍甕(あいがめ)」と呼ばれるカメの中で、「すくも」に木灰からとったアルカリの液を入れ、藍の中に含まれている「藍還元菌」の活動を助けるための日本酒と、小麦の外皮「ふすま」を使用して液を発酵させていく作業です。

このように、化学製品を一切使わず、天然成分だけを使用するため「天然藍灰汁発酵建て」と呼ばれています。

この染液の中では、アルカリ状態にあるためにまだ青くありません。染液をかき混ぜることによって空気に触れると、泡立った部分が藍色の花のようになります。この泡が赤紫になって藍が落ちついたら染色できるようになります。藍建ての完成には約2週間かかります。

染色

ようやく染色できます。染めたい布をカメに漬けては取り出して、空気に触れさせて酸化反応させ、また漬けて空気に触れさせ・・・これを10 回以上繰り返して好みの濃さに染めていきます。

こうして染められた“藍染”は、他の草木染めと比較すると色落ちしにくく、鮮やかな「JAPAN BLUE」」に染め上がるのです。

藍染の特徴

藍は古来よりとしての効能が認められてきました。

中国や日本に伝わる書物の中でも藍の効果・効能が記され、解毒効果や鎮痛効果、消炎・止血効果などのさまざまな効能があります。

そんな「藍」で染められた“藍染”は、防虫効果が高く昔の人は大切な着物を藍染の風呂敷で包んだといわれています。また、藍染の肌着を着ると肌荒れやあせもに効果があり、藍染の足袋はヘビ除け効果があったともいわれています。

昔から世界中で藍染(インディゴ)が利用されてきたのは、その効能によるものだと考えられます。今でも東南アジアの山岳民族の中には、一家にひとつ「藍甕(あいがめ)」があり、日常的に衣服を藍に染めて身につけている民族もいます。

また、アメリカのハウボーイのシンボルといえば、カウボーイハットとデニム(ジーンズ)ですが、デニムはインディゴで染められたものが主流です。このインディゴ染めにも、当初虫よけの意味があったのかもしれませんね。


藍染は発酵による美しさ

藍染、発酵

いかがでしたか? 江戸時代から伝わる天然の藍染は、藍に含まれる「インディゴ」だけでなく、発酵の過程に含まれる木灰に含まれる成分が絶妙な深みを出し、化学的な「合成藍」には決してまねできない独特の美しさを加味してくれるのです。

発酵させた藍で何度も繰り返し重ねられた染物は、染めた時期やそれぞれの「藍甕(あいがめ)」などの状況で「藍四十八色」といわれるほどに多くの“藍色”があり、同じ色でも光線の加減で紫に見えたり濃紺に見えたり・・・化学染料では決して表現できない奥深い色が生み出されるといいます。

これまですぐに色落としてしまうような「インディゴブルー」を使ってきた人は、ぜひ本物の藍染を手にしてみてください。きっと、微生物のチカラによって生み出された美しさを実感できることでしょう。

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